オフィスの移転に必要な手続きとは?|手続きの流れについて解説
更新日:2022.8.19
オフィス環境の改善や事業拡大などで移転する際、さまざまな手続きが必要です。個人の引っ越しとは異なり、オフィスの移転は手続きが多く、時間もかかります。
今回はオフィスの移転に必要な手続き、手続きが必要なタイミングについて詳しく解説していきます。移転後スムーズに業務が開始できるよう、早めに手続きの準備をしていきましょう。
オフィスの移転には時間がかかる
オフィスの移転は移転を決定してから、新オフィスの契約や行政手続き、住所変更などさまざまな手続きが必要です。
申請完了まで時間を要する手続きもあり、移転業務には時間を要します。
オフィスの移転準備は最短でも6カ月前に
オフィスの移転準備に必要な期間は最低でも6カ月前と言われています。新オフィスの物件選定と同時に旧オフィスの解約連絡が必要であり、移転のスケジュール決めも必要です。
オフィスの移転に必要な手続きは、行政以外にもインターネット会社や取引先への移転案内も含まれます。移転を検討し始めたら移転の目標時期を決め、どんな申請・手続きが必要か事前に把握しておきましょう。
オフィスの移転をスムーズに行うためには
スムーズにオフィスの移転を行うためには、必要な手続きを把握し、スピーディーに手続きを行うことが重要です。
一般的なオフィスの移転に必要な手続き・タイミングをまとめてみました。
手続きのタイミング | 必要な手続き(申請先:提出期限) |
---|---|
移転の6カ月前 | ・移転スケジュールの決定 ・新オフィスの選定・契約(不動産) ・旧オフィスの解約手続き(管理会社・オーナー) |
移転の4~5カ月前 | ・新オフィスのレイアウト検討 ・新オフィスに必要な家具・リース機器の選定 ・旧オフィスの廃棄家具・機器の仕分け ・引越し業者の選定(引越し業者) |
移転の2~3カ月前 | ・取引先・顧客へ移転通知の発送(取引先・顧客) ・取引銀行・クレジットカード会社へ 移転届け出(取引のある銀行すべて) ・社内・グループ会社へ移転案内 ・インターネット回線の移転手続き(契約している回線事業者) |
移転の1カ月前 | ・企業HPやSNSに移転のお知らせ掲載 ・ガス・水道・電気会社へ移転手続き(各会社) ・消防署へ消防計画等の届け出(管轄消防署:移転7日前) ・荷造り |
移転後 | ・転居届(郵便局:速やかに) ・異動届出書(税務署:速やかに) ・事業開始等申告書(都道府県税事務所:速やかに) ・車庫証明(警察署:速やかに) ・適用事業所所在地・名称変更届(年金事務所:5日以内) ・労働保険名称・所在地等変更届(労働基準監督署:10日以内) ・雇用保険事業主事業所各種変更届(公共職業安定所:10日以内) ・移転登記(法務局:本店の場合2週間以内 支店の場合3週間以内) ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(税務署:1カ月以内) |
オフィス移転時の各機関への届け出
オフィスを移転するときは行政や管理会社など、さまざまな機関に移転を知らせる必要があります。
ここでは行政とその他の手続きについてまとめたので、確認していきましょう。
行政に関わる手続き
オフィスの移転を行う際、行政への届け出が必要です。移転する前に届け出が必要な場合もあるので、忘れずに届け出てください。
消防署
消防署には移転する7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を提出する必要があります。提出先はオフィスの移転先を管轄する消防署になるため、事前に管轄の消防署を確認しておきましょう。
間仕切りや模様替えなど内装工事が伴う移転を行う場合は、工事の着工7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」も必要です。
出典:防火対象物の使用開始の届出をしよう|東京消防庁
郵便局
旧住所に届いた郵便物を移転先で受け取るには、郵便局へ「郵便物届出変更届」の提出する必要があります。旧住所から移転先へ転送開始するまでに数日間かかるため、事前に提出しておくと安心です。最寄りの郵便局またはインターネットから提出できます。
都道府県税事務所
都道府県税事務所には「事業開始等申告書」の提出が必要です。各税事務所によって提出物や提出期間が異なりますが、移転完了後の登記簿謄本が必要とされています。移転前・移転後両方の税事務所への提出が必要なので、注意してください。
出典:事業を始めたとき・廃止したとき|東京都主税局
警察署
社用車を保有している場合、警察署へ「自動車保管場所証明書」の届け出が必要です。届け出の際は保管場所の所在・配置図が必要になるので、事前に準備しておきましょう。
出典:保管場所証明申請手続|警視庁
年金事務所
移転から5日以内に移転先の管轄年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届」の提出が必要です。移転先の年金事務所が移転前と同一の場合とそうでない場合で、提出する書類が異なるので注意しましょう。
出典:適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄外の場合)の手続き|日本年金機構
労働基準監督署
労働基準監督署には移転後10日以内に「労働保険名称、所在地等変更届」の提出が必要です。届出の提出先は移転先の管轄労働基準局になります。また、一元適用事業と二元適用事業で、届出の方法や提出先が異なるため注意しましょう。
一元適用事業とは労災保険と雇用保険を一本化して申告・給付を行っている事業のことです。二元適用事業とは労災保険と雇用保険を別のものとして扱っている事業で、ほとんどの企業は一元適用事業に該当します。
出典:事業所の名称・所在地を変更した時の手続きは?|東京労働局
公共職業安定所
公共職業安定所(ハローワーク)には移転後10日以内に「雇用保険事業主事業所各種変更届」の提出が必要です。雇用保険事業主事業所各種変更届の届出には労働基準監督署で提出した「労働保険名称、所在地等変更届」の控えも必要になります。労働基準監督署に行った後、控えを紛失しないように気をつけましょう。
出典:事業所の名称・所在地を変更した時の手続きは?|東京労働局
法務局
法務局には「本店・支店移転登記申請書」の提出が必要です。本店が移転する場合には移転から2週間以内、支店の場合は3週間以内と提出期限が異なります。提出先は移転前の管轄法務局となり、登記簿謄本や定款、印鑑証明書、株主総会議事録など複数の添付資料が必要です。
また、移転登記にかかる登録免許税は管轄内の移転であれば3万円かかります。管轄外の場合は、旧管轄と新管轄の法務局に対して手続きが必要なため、費用が2倍の6万円必要です。
出典:商号・目的の変更,本店移転|法務局
税務署
税務署には「異動届出書」と「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」の2種類の提出が必要です。異動届出書は移転後速やかに提出する必要があり、移転前と移転後両方の管轄税務署に提出しなければなりません。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書は提出期限まで1カ月ほどありますが、書類を揃えて同時に提出しておきましょう。提出時の添付資料には移転手続き完了後の登記簿謄本が必要になる場合もあります。
出典:異動事項に関する届出|国税庁
出典:給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁
その他の手続き
オフィスの移転は行政以外にもインターネットや電話回線、銀行口座など、移転手続きが必要です。
オフィスの解約
移転が決定したら、現在契約しているオフィスの解約手続きが必要です。解約手続きは契約書等に記載されている解約通知期日までに、管理会社やオーナーへ通知します。また、退去日や退去に必要な書類、原状回復工事がいつまでに必要か合わせて確認しておくと安心です。
原状回復工事については、契約に定められている範囲まで回復させる必要があります。オーナーによっては原状回復工事を行う業者を定めている場合もあるため、退去日連絡の際にしっかりと確認しておきましょう。
インターネット・電話回線の移転手続き
インターネットや電話回線は業務に欠かせないため、移転が決まった時点で申込みしておくと安心です。移転先の開通工事なども考慮し、最低でも移転1カ月前には申込みを完了させておく必要があります。
移転に伴い、利用するインターネットや電話回線を変更する場合、移転2~3カ月前には新しい回線事業者を選定しておくといいでしょう。回線事業者を変更するには、新しい回線事業者への契約申し込みや工事立会とともに現在契約している回線事業者へ解約手続きが必要です。現在契約しているインターネット・電話回線を引き続き利用する場合は、契約している回線事業者に移転連絡を行いましょう。
移転手続きをする際には登録情報やIDなど必要な情報があります。移転に必要な情報は契約している回線事業者の公式HPから事前に確認するようにしましょう。@niftyでは「@nifty 法人サービスオフィス移転ナビ」で移転に必要な情報がまとまっているので参考にしてみてください。
銀行口座・クレジットカードの登録情報変更
移転が決定したら、取引銀行口座や法人クレジットカードの登録情報変更も必要です。一般的に登録情報変更を行うには、通帳や印鑑、印鑑証明書が必要になりますが、銀行やカード会社によって異なります。
慌ただしい移転準備の中でもスムーズに手続きできるよう、必要な書類や手続きについて事前に各銀行、カード会社へ確認しておいてください。
取引先・顧客への連絡
オフィスの移転先が決定したら、取引先や顧客へオフィスが移転することを連絡しておきましょう。移転先の連絡とともに丁寧な挨拶をすることで、今後も良好な取引に繋がります。移転先の連絡を行う際はリストアップし、漏れがないように注意し、会社HPやSNSにも忘れずに通知をしましょう。
オフィスの移転には手続き以外に必要なことも
オフィスの移転には手続き以外にも、新オフィスですぐに業務が開始できるよう準備しておく必要があります。
手続きと並行して新オフィスのレイアウトや引越し業者の選定などに手を付けていきましょう。
新オフィスのレイアウト
新オフィスが決まったら、オフィス内のレイアウトを決定しておくとスムーズに荷造り作業が進みます。オフィスのレイアウトは業務を行う上で作業効率にも関わってくるので、全体的な配置、部署毎のパーテーションなど検討しておきましょう。
内装工事業者へ依頼する期間も考慮し、余裕を持って移転の4~5カ月前から検討するのがおすすめです。
新しいOA機器やリース家具の選定
新しくOA機器やリース家具の使用を検討する場合は、オフィスのレイアウトと同時期に選定しておくと安心です。全体的なレイアウトを決定し、必要な家具や使用したい機器の決定をすることで、移転後にスムーズに業務に取りかかれます。
現在使用している機器や家具を使用する場合は、移転先でも使用ができるかリース会社へ確認しておくのも忘れないようにしましょう。
廃棄家具・機器の選定
使用している家具や機器を廃棄する場合、廃棄日を決定する必要があるため、事前に廃棄するものを選定しておく必要があります。こちらもレイアウトの決定や新しい機器・家具の選定と同時に行うことで、産業廃棄物の回収予定日に余裕を持ったスケジュールにできます。
自治体によって産業廃棄物の回収日が月に1度しかなかったり、廃棄量によっては持ち込みを依頼されたりする場合があるので注意してください。
引越し業者の決定
オフィスのレイアウトや廃棄機器・家具が決まったら、引越し業者へ相見積もりをかけておきましょう。移転コストを削減するには、複数の引越し業者から見積もりを取得することが重要です。また、取り扱える荷物や希望日程も業者によって異なるため、見積もり時に希望の移転日や機材について伝えておく必要も。
特に引っ越し繁忙期にあたる12~4月頃は、希望の日程で引っ越しができない可能性もあります。移転先で使用する機器や家具が決まったら、すぐに引越し業者の手配をしましょう。
名刺や自社封筒の印刷発注・修正
名刺や自社封筒など会社の住所が記載されているものは、新しい住所へ変更する必要があります。移転直後に名刺交換や郵送物を発送する機会もあるため、遅くとも移転の1カ月前までに印刷を発注しておくと安心です。
住所が記載されている社内資料も、できるだけ早めに移転先住所へ変更しておくと、移転後の作業が楽になります。移転先住所が決定したら、空いた時間を使って住所の変更作業を進めておきましょう。
まとめ
オフィスの移転作業は全体的なスケジュールを確認しながら、手続きを漏れなくすることが重要です。特に移転後すぐに業務を行うためにもインターネットや電話回線の移転手続きは早めに手配しておきましょう。
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