VPN対応ルーターとは|選び方と注意点を解説
更新日:2022.2.7
テレワークの普及に伴い注目されているVPN環境には、VPNに対応したルーターが欠かせません。さまざまなメリットが得られるVPN対応ルーターですが、使用時には注意しなければならない点もあります。
本記事ではVPN対応ルーターを導入する目的とともに、自社にあったVPN対応ルーターを選ぶポイントをご紹介します。VPN環境の構築を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
VPN対応ルーターとは?
VPN対応ルーターとは、VPN機能を搭載したルーターです。テレワークの普及に伴って、VPN対応ルーターを使用したVPN環境を構築している企業も増加しています。
VPN対応ルーターを導入する目的
VPN対応ルーターは、主にテレワークなどで社外から社内ネットワークにアクセスする目的で導入されています。VPN接続するには、本社と複数の拠点間でVPN環境を構築する必要があるため、VPN対応ルーターは欠かせません。
VPN対応ルーターを設置して環境が整えば、従業員が自宅や外出先から社内ネットワークにアクセスできるようになります。VPN接続の他にも、社内ネットワークにアクセス方法はありますが、導入コストが割高になりがちです。
VPN接続の詳細や他の接続方法との比較については、こちらの記事でまとめているのでチェックしてみてください。
関連記事:VPN接続とは?初心者にも簡単にわかりやすく解説
VPN対応ルーターの導入で得られる効果
VPN対応ルーターを導入することで得られる効果は3つあります。順番に見ていきましょう。
高いセキュリティ効果
VPN接続は、インターネット上に仮想の専用線を設定するため、高いセキュリティ効果が得られます。データの流出や改ざん防止に役立ち、外部から通信内容が覗かれるリスクを軽減できます。
利便性の向上
VPN対応ルーターを導入すれば、社外からでも社内ネットワークにアクセスできるようになるため、従業員の利便性向上が期待できます。営業職や出張の多い担当者であっても、外出先から業務を行えるため、効率的に業務を進められるでしょう。
コストパフォーマンスに優れている
VPN対応ルーターは、インターネット回線があればVPN環境を整えることが可能です。専用回線を構築するよりも導入コストを抑えられるため、できるだけコストを抑えてネットワークを構築したい企業におすすめです。
VPN対応ルーターもさまざまな製品があり、必要最低限のスペックであれば安価に調達できます。自社に導入する際は、どの機能が必要なのか事前に検討しておくのをおすすめします。
VPN対応ルーターを選ぶポイント
多くの種類があるVPN対応ルーターですが、自社に必要な機能は利用する環境によって異なります。VPN対応ルーターを選ぶ際は、以下の3つのポイントを意識してみてください。
安全に利用できるセキュリティ機能が備わっているか
VPN対応ルーターを選ぶ際、最も意識しなければならないポイントがセキュリティ機能です。ルーターの種類によって、セキュリティレベルやファイアーウォール機能など搭載されているセキュリティ機能が異なります。
社外からでも安全に社内ネットワークを利用するためには、セキュリティ機能は欠かせません。接続する機器やネットワーク環境を含め、自社の利用環境にあったセキュリティ機能が搭載されているVPN対応ルーターを選んでみてください。
自社のVPN利用方法に必要な機能が備わっているか
社内にVPNサーバーが構築されていない場合、VPNサーバー機能が搭載されているVPN対応ルーターがおすすめです。また、VPNパススルー機能や拠点間接続機能がついているVPN対応ルーターもあります。
新しいプロトコルに対応しているか
プロトコルとは通信機器同士でインターネット通信を行うためのルールのことで、時代によって改良や進化しています。古いプロトコルでもVPN環境は構築できますが、セキュリティ面を考慮するとあまりおすすめできません。
一般的なVPN対応ルーターに対応しているVPNプロトコルをまとめると、以下の通りです。
特徴 | |
---|---|
PPTP | 一般的なプロトコル。通信速度が速く、多くの端末に対応している反面、セキュリティ性能は低い。古いプロトコルのため、macOSやiOSには未対応。 |
L2TP/IPsec | 対応端末が多く、セキュリティ面が優れているプロトコル。ただし、通信速度が遅く、ファイアーウォールにブロックされることもある。 |
SSTP | セキュリティ面は優れている反面、対応端末が少ないプロトコル。Windows向け。 |
IKEv2 | 通信品質、セキュリティ面が優れているモバイル向きのプロトコル。 |
OpenVPN | 通信品質、セキュリティ共に優れていて、柔軟な設定も可能な新しいプロトコル。オープンソースのため、開発・研究が進んでいます。 |
比較的新しいプロトコルは「OpenVPN」で、他のプロトコルよりも通信品質、セキュリティ強度が向上しています。VPN対応ルーターを選ぶ際は、できるだけ新しいプロトコルに対応したVPN対応ルーターを選ぶようにしてください。
VPN対応ルーター利用時の注意点
高いセキュリティ通信が利用できる便利なVPN対応ルーターですが、利用時に注意しなければならない点が2つあります。
VPN対応ルーターの管理者が必要
VPN対応ルーター導入後は、VPNサーバーの管理や、ルーター自体の更新、ファームウェアアップデートなどさまざまなメンテナンスが欠かせません。そのため、VPNに関する知識を持った管理担当者が必要になります。
メンテナンスを怠ると、VPN対応ルーターの脆弱性を狙ったサイバー攻撃に遭ってしまう危険性も。社内で担当者が確保できない場合は、ベンダーに相談してサポートしてもらうのもおすすめです。
情報漏えいや通信障害などのリスクがある
外部から通信内容が覗かれにくいVPN接続ですが、情報漏えいのリスクはゼロではありません。
VPNはインターネット回線を利用するため、拠点間を直接接続する専用線よりもセキュリティ面では少々劣ります。また、回線トラブルによる通信障害が起こる可能性もあるため、利用時には注意が必要です。
まとめ
VPN対応ルーターは、インターネット回線に接続することで、低コストかつ気軽にVPN環境が構築できます。製品ごとに搭載されている機能が異なるため、自社の利用環境に適したVPN対応ルーターを選ぶことが重要です。
VPN環境は利便性の向上だけでなく、セキュリティ面の対策にも役立つメリットが得られます。VPN対応ルーターを選ぶ際は、ぜひ本記事でご紹介したポイントを意識してみてください。
通信環境によって速度遅延や通信制限にかかる可能性があります。社内外で快適にテレワークを行うためにも、インターネット回線は安定した通信が利用できる光回線がおすすめです。
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